とてとてと付いて来るミニオンを見て、可愛いなぁと思って抱き上げる。その気持ちを声に出すと、本人の声が聞こえてきた。
「何やってるんだお前……つーかそのミニオンはなんだ?」
顔を上げれば、そこには等身大のエスティニアンがいる。視線を注がれている腕の中のミニオンを見てから、君をモデルにしたミニオンだよと返した。
「可愛いよねぇ、蒼天街の復興を手伝って、復興券と交換してもらったんだ」
にっこりと本人に微笑むと、彼は深く溜め息を吐く。呆れた様子で俺を見て、これを選んだお前もだが、景品として案を出したやつも何を考えてるんだ……と文句を零した。
「みんなエスティニアンのことが好きなんだよ。イシュガルドの為に戦ってくれた、もう一人の英雄がね」
「好き、ね……嫌われるよりはいいが、こうしてアイテムにされるのはなんだかむず痒いな」
俺が仮定として話した理由に納得したエスティニアンは、困惑した様子で頭を掻く。確かに俺も、『英雄のミニオン』とか『英雄の肖像画』とか作られて販売されたら恥ずかしい。恥ずかしいけれども、自分のやったことを認めてもらい、感謝されるのは嬉しいことだとも思う。複雑なものだ。
困っているエスティニアンを見ているのが面白くて、俺は余計な情報を与えた。
「復興事業の景品は主にフランセルが仲間と一緒に案を出してるみたいなんだけど、エスティニアンのミニオンを作ろうって言ったのはアイメリクみたいなんだよね」
「はぁ!?」
「竜詩戦争を終結させたのは英雄だけど、その影で活躍した蒼の竜騎士のことも称え、後世に名を残したいとかで」
彼は目を大きく見開く。普段冷静な分、ギャップが面白いと思ってしまう。
「俺のことを気に掛けてくれるのは嬉しいが、欲しいのはそういうことじゃないんだよな」
「ふふっ、君も大変だね。でも、思ってくれる親友がいることはありがたいことだよ。孤独だったら、叶えられる願いも叶えられなくなる」
話しているうちに、表情が寂しげになっていったようで、エスティニアンはハッとした。
「……そうだな。あいつがいたから振り返らずに進めたところもある。あいつだけじゃない。お前やアルフィノ達の存在もでかい」
彼は柔らかく微笑んだ。かなりぶっきらぼうだった昔とは大違いだ。
「君の力になれていて嬉しいよ。俺もみんながいなければ、ここまで来れなかった。一人じゃなくて良かったって思うよ」
「お前の周りには俺やたくさんの仲間がいる。これからもずっとな。物理的に離れていたって、心は一緒だ」
「うん、そうだね。ありがとう、エスティニアン。これからもよろしくな」
俺はにっこりと笑う。もしも時空を超えて、一人ぼっちだった過去の自分に会えるのなら伝えたい。君が歩む先の未来の俺は、たくさんの仲間がいて幸せだと。